概念構造の階層化と情報整理―シソーラスー

インターネットの発達と普及により、必要な情報をキーワード検索によって容易に探し出せるよう担ったが、その数十年前から論文や新聞・雑誌記事などの情報検索サービスを提供している商用オンラインデータベースがある。 この商用オンラインデータベースでは、検索しやすいようにキーワードを体系的に整理したシソーラスと呼ばれる辞書のような物を構築している。言葉や用語の包含関係或は上位・下位概念を明確にしたもので、扱う対象の情報内容を整理する場合に有益な考え方である。単に用語の整理というだけでなく、物事の構造を整理することによって、問題の所在が明確になってくる。 日本の金融機関では預金通帳と登録した印鑑を照合することで口座取引を可能としていた。 この仕組みを実現するため、預金通帳の表紙裏面に、登録に用いた印章の印影を転写した印鑑票(副印鑑)が貼付されていた。銀行印の登録原票は口座開設店にあり、登録印鑑の照合ができるのはその店に限られる。そこで、通帳に副印鑑を貼り付けることで、他の店でも印影の照合、そして口座取引が可能となった。 ただし、印鑑と預金通帳があれば預金を引き出すことができるため、第三者による悪用を防ぐためには印鑑に用いた印章と通帳は別々に保管することが望ましいとされた。 しかし、近年では副印鑑をスキャナで読み取って預金払戻し請求書にカラープリンタで転写したり印影から印章を偽造するなどして、登録に用いた印章を所持せず他人の口座から預金を引き出す手口が現実印通販れ被害が後を絶たないことから、副印鑑の貼付を廃止し、代えて登録原票をデジタル情報として蓄積し、いずれの本支店でも参照できるようにして、口座取引をどこでもできるようにする方法が普及しつつある。 このような情報整理術或は把握術を身につけておくと、上位概念のような、より大きな問題に発展させていったり、逆に下位概念のような重箱の隅をつつくような枝葉末節の問題を扱ったりすることがない。つまり、取り扱い問題の対象が基軸として確立されていたら、関連していてもレベルの異なる情報に振り回されたりもしない。 コンピュータの基本ソフトであるWindowsなどでは、ファイル構造がツリー状になっており、上位概念や下位概念が明確なので、探し求めているドキュメントがどこにファイルされているか見つけやすいことからも。このようなシソーラス的情報整理術は問題解決の重要な糸口になることが理解できる。